路面の衝撃からクルマを守るしくみ

 ミニの足回りって、乗り心地が悪いためか構造自体が古いと思われがちですが、実は最近の自動車でも使われている方式で、意外と合理的に作られています。
特にミニのフロントの緩衝装置などは、現在生産されている乗用車の多くで採択されているどころか、最先端技術が駆使されているF-1レースにおいても採択されている方式で、その原点的なものと考えてもよいです。
よくミニが「カートに近い」と言われる理由はそこにあるワケで楽しいドライビングフィーリングを与えてくれています。
ここでは、ミニの緩衝装置について、ざざっと紹介しちゃいます。

 

<フロントの緩衝装置>

 ミニのフロントの緩衝装置は「ダブルウィッシュボーン・ラバーばね方式」と呼ばれている方式を使っており、タイヤが固定されているスベイルハブを上下2本のアームで支えている方式です。この方式は、現在のF-1カーやカートなどでも同じ方式が使われています。
言葉で説明するよりも、下の図を見た方が早いので、ざざっと見て行く事にしましょう♪

 上の図はフロントの緩衝系統と操舵系統を上から見た図で、青い部分が緩衝駆動系統の部分で、赤い部分は操舵駆動系統の部分です。操舵系統については、より突っ込んだ説明が必要ですので、ココココをクリックして参照にしてください。
ここで、上の図のテンションロッドは、下の図のロアアームを補助する働きがあります。

ミニのロアアームはアッパーアームに比べて細く、ロアアームのスベイルハブ側のジョイントに接続されています。このロアアームを前後に動かさないようにするべく取り付けられたのがテンションロッドです。車種によっては、このテンションロッドがアッパーアームとロアアーム両方に付いていたり、全然ついていなかったりとまちまちで、それぞれの車種の強度設計にもとづき取り付けられています。

 では実際に緩衝装置を動かすとどうなるか・・左の図を見てみましょう。
このように、走行時に路面の衝撃がある時は、スベイルハブに固定されている上下2本のアーム(アッパーアームとロアアーム)が上下に動きます。これに伴い、タイヤの角度(キャンバー角)も動きます。
ここで、マンホールなどを通過した時には、サスペンションであるラバーコーンとショックアブソーバーの働きで路面の衝撃を和らげる働きをします。
サスペンションとショックアブソーバーの働きについてはココをクリックして下さい。

 

<リアの緩衝装置>

 ミニにおけるリアの緩衝装置もフロントと同じ「ラバーばね方式」を使っており、左右の緩衝装置は独立して駆動しています。
最近の国産車では、これに加え、棒をねじった時の復元力を利用したトーションバー方式なんかも併用している車種も多いようです。
ミニもトーションバー方式を併用すると良いように思えますが・・・

リアの緩衝装置に関しては、上下の駆動のみで、フロントとは異なており、他の要素であるキャンバー角トー角などは固定されています。
実際にリアの緩衝装置を動かしてみると、左図のようになります。
このように、路面から衝撃が伝わってくると、てこのようにストラットが押さえ付けられてラバーコーンが縮むしくみで、緩衝装置が成り立っています。
この方式は、他の車種ではあまり見る事ができないので、ちょっと特殊かもしれませんね・・