最近、マフラー交換などの吸排気系をチューンアップしたのはいいけど、MINIに乗っててやたらアイドリングが高いだとか低いだとか感じたことはありませんか?
マフラー交換などの吸排気系のチューンアップを施した場合、インジェクションモデルの場合はコンピューターでその変化を感知し自動的に混合比やアイドリング回転数を制御しますが、キャブレターモデルの場合はすべて機械式なので、そのつどその吸排気効率にあったセッティングをしなくてはなりません。
通常、スペシャルショップでは専用の測定機器(COメーター等)を使用し混合比を簡単且つ短時間に調整していますが、一般ユーザーが調整する場合は「乗りながらの調整」が基本になってきます。ここでは一般ユーザーでも出来るミクスチャー調整のヒントを紹介していきたいと思います。
キャブレターの調整は「トライ&エラー」が基本ですので、実際に乗りながらじっくりと調整していく事が肝要です。
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<混合比とトルクと燃費の三角関係>
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まずエンジンが回転する混合比の領域は重量比で、
空気:ガソリン
8:1〜20:1
の範囲内ならエンジンを動かす事が出来ます。
これを前提に左のグラフを見てみましょう。
トルク曲線においてトルクが最大になる点を最大出力混合比といいます。
ガソリンを濃くしていくと、トルクは増加しますが、最大出力混合比よりガソリンを濃くしてしまうと逆にトルクが落ちてしまいます。
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また、燃費曲線において燃料消費率が最も少なくなる点を経済混合比と呼びます。しかし、ガソリンが薄すぎると逆に燃費は悪くなってしまいます。
通常、ミクスチャーの調整を行う時は、先程述べた最大出力混合比と経済混合比の中間地点にある理論混合比(空気:ガソリン=14.5:1)にて混合比を設定します。
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<キャブレターの調整箇所>
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まず、キャブレターの仕組みを知らない方はココをクリックして勉強してきてください。
ウチのMINIには「SU
HS4」タイプのキャブレターがついているんでコイツを例に説明します。(笑)
キャブレターにおいてはおもに、
●アイドリングの回転数
●エンジン始動直後の
アイドリングの回転数
(ファーストアイドリング)
●ミクスチャー(混合比)
の3つの調整が出来ます。
左図を見れば解りますが全てネジ式の要領です。(単純…:爆)
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上図の各調整箇所については下表のようになります。
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調整箇所
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調整方法
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アイドリング回転数
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上図の青色の部分のネジを絞めると回転数が上がる
逆にネジを緩めると回転数が下がる
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ファーストアイドリング回転数
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上図の緑色のネジを絞めるとエンジン始動時の回転数が上がる
逆にネジを緩めると回転数が下がる
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混合比(ミクスチャー)
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上図の赤色のナットを上から見て時計回りに回すと、ガソリンのミクスチャが濃くなる
逆に反時計回りに回すとガソリンのミクスチャが薄くなる
これはメインジェットの上下位置が変わることによりミクスチャが変動することを原理としている
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よくよく考えてみたら結構、単純な構造です。
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<キャブレターの調整手順>
「SU
HS4」タイプキャブレターの場合
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1.
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まず始めにミクスチャが適正かどうかを判断する
まず、スパークプラグを抜いて、プラグの色を確認しておく。これである程度、ミクスチャの状態が確認できる。その色とミクスチャとの関係を下の表に記す。
次に、キャブレターの左横にピストン・リフトピンがついている場合、コイツで適正混合比を調べる事も出来る。下からピンを押てみると、ちょっと引っ掛かりを感じる。その時がピストンに接触している状態なので、その位置から1mmくらいピストンを押し上げてみるとエンジンが何らかの挙動を示すので下の表にまとめておく。
もし、ピストン・リフトピンがない場合は、エアファンネルから指を突っ込んでみてピストンを直接押し上げてみても良い。(下表を参照)
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2.
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次に、エアクリーナーをボックスごと外し、青い丸の部分のネジを回して、
アイドリング回転数を900rpm前後に設定する。
この時エアコンの電源は必ず切っておく事!
アイドリングが下がらない場合は、基本的にミクスチャが濃い可能性が考えられるのでミクスチャをエンジンが止まるギリギリのところまで絞っておく。
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3.
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ミクスチャー調整ナットが封印キャップで封印されている場合は、これをマイナスドライバ等でコジって取り外してから廃棄する。
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4.
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次に上の写真の赤い矢印のところにあるミクスチャー調整ナットを裏から手を回してエンジン回転数が最も安定でなるべく高い回転数を示すようなところで止める。
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5.
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再び、青い部分のネジを回して、アイドリング回転数を900rpm前後に設定し直す。4〜5の行程を何度かくり返して適切なミクスチャーを探しあてる。
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6.
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最後に緑色の部分のネジを回して、エンジン始動直後のファーストアイドリングの回転数を1200rpm前後に設定しておく。
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7.
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実際に路上に出てみて、エンジンが不安定で再調整が必要であれば、4〜7の行程を繰り返して再調整する。
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8.
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最後にキャブレター調整後は、アイドリングが不安定になる時がよくあるので、惑わされないように注意しておく事が肝要である。
キャブ調整の目的で路上に出る時は、エンストを起こす可能性が非常に高いので、
交通量の少ない夜間にテストドライブを行う事が望ましい。
また雨天時の路上調整は、漏電など他の妨害要因も考えられるので、キャブ調整には不向きな天候であることを念頭に入れておく必要がある。
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ミクスチャー
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濃い
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適正
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薄い
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スパークプラグの色
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黒い・カブっている
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こんがりキツネ色
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白い・粉吹いてる
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ピストンリフトピン
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回転数が異常に上がる
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回転数が変化しない
わずかに回転数が上がる
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エンジンがストールする
回転数が直ちに下がる
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(重要)「SU
HIF」タイプのキャブレターの場合、調整手順が違っており、タコメーターと排気COメーターが必要なので、持ってない方はスペシャルショップでやってもらいましょう!
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<参考リンク>
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あと、下記のサイトでは「SUツインキャブの設定方法」を紹介しています。
こちらも参考にして下さい。トップページの「PART'S
ON」から入れます。
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