点火系統のしくみと点火タイミング
(点火プラグを着火させるまで)

<高回転領域でも正確に点火させる点火進角装置のしくみ>

先述の通りですがスパークプラグは、高電圧を放電させることによってガソリンに点火するための装置です。
しかし、ピストンサイクルにおいて単純に圧縮上死点において点火してよいと言うものではなく、エンジンの回転数・圧縮負荷(吸入容積)などの要因よって点火時期を早めたり遅らせたりしないといけません
この問題を解決する為に出てきた手段が
「点火進角装置」とよばれるモノです。

 まず、混合気が点火されて燃焼するまでの過程は主に「燃焼準備期(点火期)」と「圧力上昇期(燃焼期)」の2つの時期に分かれます。
ここでエンジンの回転数が上がると、もちろん燃焼サイクルの時間も短くなってきます。
しかし燃焼準備期だけは不変で、圧力上昇期だけが短くなってくるので、点火時期の調整を行わず、そのままの状態だとどうしても燃焼の遅れが生じてきます。
ここで、「ガバナーコントロール点火進角装置」の登場です!!
これはウェイト(おもり)とバネを使用し、エンジン回転数の上昇に伴う遠心力を利用してエンジン回転数に見合った点火タイミングの調節を行うための装置です。(下図参照)
 次に、エンジンの負荷が軽い(圧縮圧が低い)場合は、点火時期を早めた方が、効率よくガソリンを燃焼させることができます。逆に負荷が大きい(圧縮圧が高い)場合は逆に点火時期を遅らせた方が効率よく燃焼させることができるようです。
ここで登場したのが「バキュームコントロール点火進角装置」です!!
これはキャブレターの負圧(吸入圧)との連動でエンジン負荷に見合った点火時期の調節を行っています。(下図参照)

点火時期の調整要因
 
点火時期
エンジンの回転数の上昇      
早くした方が効果的に燃焼
エンジン負荷が大きい(圧縮圧力大)
遅らせた方が効果的に燃焼
エンジン負荷が小さい(圧縮圧力小)
早くした方が効果的に燃焼

ガバナーコントローラー
バキュームコントローラー
(カムの高速回転による遠心力を利用)
(エンジン高負荷時のキャブ負圧を利用)

 

<コンタクトブレーカーとコンデンサのはたらき>

前述の通り、点火コイルは1次回路と2次回路とに分かれます。しかし、コイル内には常時通電しているワケではありません。
必要な時期(点火時期)だけ必要な高電圧を作る為のスイッチの役割を果たしているのが「コンタクトブレーカーポイント」と呼ばれているモノです。これはディストリビューター内部にあって左図のカムが回ることによってカム山がポイントのヒール部分にあたりスイッチをon/offしているワケです。

しかし、こうやって何度もon/offをくり返していくと点火コイルの1次回路側も自己誘導作用が起り、1次回路の電圧がどんどん高くなっていきます。
そんでもって、2次電流側(高圧側)のコンタクトポイント間に火花を散らしてしまい(放電させてしまい)、終いには2次電圧の低下を招いてしまう結果になります。
これを解決しようと出てきたのが「コンデンサー」と呼ばれるモノです!
コンデンサーは、ポイントがoffの時に点火コイルの1次回路から余った電気を吸収し、ポイントがonの時に同時に放電して、この自己誘導作用を防いでいるワケです。

おしまい‥