エンジンを冷やすしくみ

<ラジエターの機能>

ラジエターは主に熱せられた冷却水を冷す働きをします。
そのしくみは非常に簡単で、熱せられた冷却水がパイプを通る際に、その熱がフィンと呼ばれる放熱版に伝導して放熱し、冷却効果をあげるしくみになっています。
つまり、空気にあたる表面積を広くすることで冷却効果を上げているワケです。
 ここで、ラジエタ−の種類で「2コア」とか「3コア」とかいう言葉を耳にします。

コアの数が増えると、この放熱に関わる表面積がどんどん広くなってきます。
つまりコアが増えた分だけ冷却効果が上がるワケですね!

また、ラジエターの中は密閉されています。内部の冷却水が熱せられると、もちろんラジエター内部の蒸気圧が上昇し、その結果、ラジエター内圧があがります。すると、その圧力が冷却水の水面を押し下げることにより、エンジンに冷却水を送るポンプ的な役割を担うワケです。
後述で述べるウォーターポンプはあくまでも補助的なもので、サーモスタットが開くと冷却水循環系の原動力はラジエター内圧の方がメインになってきます。

 

<ウォーターポンプの機能>

ウォーターポンプは名前の通り、冷却水を循環させるポンプの働きをします。
ポンプの駆動力はエンジンのカムシャフトの回転より得るしくみになっており、サーモスタットが開いているときはラジエターより直接ロアホースを介して冷却水をエンジン内に導入します。
サーモスタットが閉じている時はエンジンのヘッドブロックよりバイパスホースを介して内循環を行います。

 

<サーモスタットの機能>

サーモスタットとは、エンジン始動後にエンジン内の冷却水がある一定の温度に達すると、ラジエターからの冷却水をエンジン内に導入する「弁」のような働きをします。
MINIに使われているサーモスタットは、おもに、開弁温度が74°、82°、88°の3つのタイプがあります。

例えば、開弁温度が88°のサーモスタットを使用している場合を例にあげてみます。

エンジン始動直後はエンジンがまだ暖まっていないのでサーモスタットは閉じています。しばらくアイドリングを続けると、エンジンが暖まってエンジン内の冷却水が88°に達すると同時にサーモスタットの弁が開き、はじめてラジエターからの冷却水がエンジンルームのに導入される仕組みになっているワケです。
つまり、サーモスタットとは、エンジン始動直後の「オーバークール状態」を改善する役割を担っているワケです。
さらに、サーモスタットの開弁温度を高いタイプのモノに替えれば「オーバークール対策」となり、逆に開弁温度を低いタイプのモノに替えれば「オーバーヒート対策」にもつながります。そう言うワケなのでユーザー各自が、クルマを乗り回している地方の気候に合ったサーモスタットを選ぶことが大事なことではないかと思います。

 

<ヒーターユニットの機能>

ヒーターユニットは、いわば室内の暖房装置の役割を果たします。
運転席にあるヒーターチョークを引くと、エンジンルームにある冷却水導入バルブが開き、エンジンヘッドブロックから熱せられた冷却水がこのユニットに導入され、これを熱源として使用します。

裏を返せば、このヒーターユニットもラジエターと似たような機能であるので、放熱装置には変わりありません。
オーバーヒート時には、ヒーターをつけることによって、ある程度は症状が改善されます。
オーバーヒートの時は我慢してしてでもヒーターをつける事をオススメします。

ヒーター導入ホース(緑)とバルブユニット(赤)