エンジンを冷やすしくみ

エンジンという所は、ガソリンが燃えている所ですから、もちろん熱を産生します。
あんまりエンジンが熱を出し過ぎると、今度はその熱でエンジンが溶けてしまいます。
それじゃマズイ!ということで、今度は冷却システムが必要になってくるワケです。
ここでは、MINIに使われている「水冷式エンジン」を例に上げて説明します。

 

<主な冷却水の流れと各部の機能>

まず、冷却系統の該略図と実際にボンネットを開けてみて確認できる部分を下に示します。

各部品の機能の説明は上の図の部品をクリックしてね!

 

実際にボンネットを開けてみたの図

 

まずエンジンを始動させると、「カムシャフト」の駆動力で「ウォータポンプ」が回り出します。ウォーターポンプは、名前の通り冷却水を循環させるポンプの役目を行います。
エンジンを始動させた時点では、まだ水温が低く、サーモスタットの弁がまだ閉じた状態なので下表のようにエンジン内で、冷却水が「内循環」を行っています。
しばらくして、ある程度エンジンが温まってくると、冷却水が熱っせられ、ある一定の温度まで水温が上がると、「サーモスタット」の弁が開き、ここで初めて冷却水の「外循環」が始まります。そして、エンジンにて熱っせられた冷却水はエンジンより外へ出てラジエタ−まで到達し、そこで冷やされて再びエンジン内へと戻ってきます。また、エンジンで熱っせられた冷却水の一部は、室内ヒーターの熱源にも利用されます。
ここで「サーモスタット」は、ある一定の水温(90度前後)を感知したら弁が開くようなしくみになっています。また、ラジエター内は密閉されており、ラジエター内圧が上がるとラジエター自体もポンプの働きを行うようになり、この外循環が一気に加速され、冷却水循環の原動力はウォーターポンプよりむしろラジエター内圧の方がメインになってきます。
冷却系統の各部品の説明が必要な方は、上の図の部品のところをクリックしてください。

 

内循環(サーモスタット閉)
外循環(サーモスタット開)
ウォーターポンプ

エンジン内循環

バイパスホース

ウォーターポンプ
ウォーターポンプ

エンジン内循環

サーモスタット

ラジエターで冷却

ウォーターポンプ
循環原動力はウォーターポンプのみ
循環原動力はラジエター内圧がメイン
ウォーターポンプはサブ的な役割

 

 

<冷却水に使われるクーラントとその機能>

「水冷式」と名前が付くワケですから、基本はもちろん「水」で冷やします。
井戸水、水道水、コンビニで売っている水…なんでも構いません。
昔、オーバーヒートを起こした時に、運良く近くに川が流れていたので、そこから水を汲んで来て使用した経験があります。(笑)
しかし水を使うといっても、そのままの状態では沸点は100度なので真夏の炎天直下では対処出来ず、また凝固点(氷点)も0度なので真冬の寒冷地でも使用するに耐えれません。

ロングライフクーラント(LLC)

 ここで「ロングライフクーラント(LLC)」の登場です。
「LLC」等のアルコール成分を30%くらい混ぜてやると、混合溶液の沸点上昇が起り、沸点が120度くらいまで上がります。また、凝固点降下も起り凍結点が-15度くらいまで下がります。この「クーラント/水混合液」を一般的に冷却水と呼びます。
クーラントと水との適切な混合比は下記に上げていきます。

LLC(濃度比率)
Water(濃度比率)
凍結温度
30%
70%
-16°
35%
65%
-20°
40%
60%
-24°
45%
55%
-28°
50%
50%
-35°
55%
45%
-41°

また、最近のロングライフクーラント(LLC)は、妨錆剤・腐食防止剤などが入っている高性能のものが主流になっていますが、LLCの濃度が30%以下であると、妨錆効果が薄れてしまうといった傾向があるようです。よって混合比は1:1というのが基本のようです。